35年ローンの恐ろしさ7選!「頭おかしい」と言われない返済計画とは?

住宅ローンの申し込みの際に、「毎月の返済金額を少しでも抑えたい」と考える人は多いです。
無理のない返済金額の設定は大切ですが、35年ローンの恐ろしさを知らずに契約すると、後から後悔するケースがあります。
この記事では、35年ローンのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
「35年ローンにおすすめの返済計画」や「金利の低い銀行の選び方」についても解説するので、住宅ローンの申込をする前に確認してみてください。
35年ローンの恐ろしさ7選
35年ローンの恐ろしさは、長期間にわたり返済を続けられなくなる可能性があることです。
マイホームを購入する際、多くの人が35年ローンを選びますが、その長期的な影響を検討しないと後から後悔することがあります。
具体的に、35年ローンには以下の7つのリスクがあります。
それぞれを順番に解説します。
支払利息が大きい
35年ローンの恐ろしさは、支払利息が大きくなることです。
同じ金額のローンを組んだ場合、返済期間が長くなるほど支払利息の総額が大きくなります。
例えば、3,000万円を1.5%で借り入れた場合の総支払利息を見てみましょう。
返済期間 | 総支払利息 |
---|---|
15年 | 3,519,960円 |
25年 | 5,994,000円 |
35年 | 8,579,100円 |
15年返済の総支払利息は約350万円ですが、25年返済は約600万、35年返済は860万円と金額が大きくなっています。
利息だけで800万円以上を支払うと考えると、35年ローンの恐ろしさを感じますね。
ただ、繰り上げ返済を行った場合は利息額も小さくなるので、余裕資金があるときには返済に充てることを検討しましょう。
金利上昇のリスク
35年ローンを変動金利で組んだ場合、金利上昇の恐ろしさがあります。
変動金利と固定金利のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
金利タイプ | メリット | デメリット |
---|---|---|
変動金利 | 借入時の金利が低い | 金利上昇リスクがある |
固定金利 | 借入時の金利が高い | 金利が変わらない |
借入時の金利は固定金利より変動金利が低く、変動金利を選択する人が多いです。
一方で、変動金利は市場金利の上昇によってローンの金利も上がります。
ローンの金利が上昇すると支払利息が大きくなるため、毎月の返済額も増えるのがリスクです。
なかには「125%上限方式」といって、毎月の返済金額が1.25倍までしか上がらないルールが適用される金融機関もあります。
それでも毎月10万円だった返済が12.5万円になる可能性があり、ローン返済が家計を圧迫する恐ろしさを感じる人もいるでしょう。
長期的に安定した収入が必要
35年ローンを組むということは、当然ですが35年間ローンを返済し続ける資金が必要です。
長期的に安定した収入が得られるとよいですが、必ずしも今と同じ状況で働き続けられるとは限りません。
大幅に収入が減少する懸念があるのは、以下のケースです。
- 仕事の負担が大きくなり転職する
- 会社が倒産して失業する
- 未曾有の災害や感染症によりリストラされる
- 病気やメンタルヘルスで勤務ができなくなる
- 妻の妊娠・出産で家計全体の収入が減る
- フリーランスや自営業で収入が不安定
35年ローンの恐ろしさは、働き続けなければいけないプレッシャーにもあります。
現在30歳であれば、65歳または定年まで勤務し続けるのは重荷と感じる人もいるでしょう。
引っ越しが簡単ではなくなる
賃貸に住んでいる場合、収入が減少すれば安いアパートに引っ越すことは簡単です。
一方で35年ローンを組むと、収入が減少しても無理くり返済しなければマイホームの売却に追い込まれます。
返済の負担から逃れるためや、思わぬ転勤によって自宅を売却する場合も、35年ローンがネックになるケースがあります。
35年間での完済を計画している場合、20年返済などと比べてローン残高の減り方が緩やかです。
マイホーム取得から10年後に売却しようと思ったときに、売却金額よりローン残高が大きいとローンが残ってしまいます。
売却した住宅のローンを返済しつつ引っ越すのは経済的に負担が大きく、35年ローンの恐ろしさに直面します。
マイホームの修繕費用を捻出できない
35年ローンを組みマイホームを手に入れた時点で、修繕やリフォームを考えている人は少ないでしょう。
一戸建ての場合、20~25年ぐらいで経年劣化が気になり、30年を超えると修繕箇所が出てくるケースが多いです。
主な修繕箇所は、以下のとおりです。
- 外壁の塗り替え
- 屋根の修繕
- クロスの貼り換え
- 水回りの修繕・交換
- 給湯器・排水設備の入れ替え
戸建て住宅は分譲マンションのように修繕費用を積み立てる仕組みがないので、ローン返済と重なると修繕費が捻出できない恐れがあります。
分譲マンションにおいても、水回りを入れ替えたり、リフォームをしたいケースもあるでしょう。
20~25年で住宅ローンの返済を終え、その後は修繕費用を積み立てるのが理想ですが、35年ローンを選ぶ場合は「退職金を充てる」「早くから少しずつ積み立てる」などの計画をしておくのがおすすめです。
定年退職後にも債務が残る懸念
「35年ローンの恐ろしさ」を身をもって体感するタイミングは、定年退職時です。
60歳以降に住宅ローンが返せなくなるケースは多く、一番の後悔は「老後破綻」といえます。
20代で35年ローンを組む場合はリスクが少ないですが、30歳以降ならば退職時のローン残債は必ずシミュレーションで確認しておきましょう。
例えば、定年退職の65歳の時点でローンが1,000万残る場合、どのように返済するかを考えておかないと恐ろしいことになります。
再雇用で働く場合も、現役時と比べて給料は減るケースが多く、年金の受給額も不透明です。
あてにしていた退職金も思ったより少ないとなると、たちまち返済が困難になってしまいます。
返済が厳しくなったときに条件変更が難しい
住宅ローンの返済が厳しくなった場合は、借入先の金融機関に返済条件変更の相談が可能です。
例えば、収入が減少して返済が厳しいときに、以下の交渉をします。
- 毎月の返済額を減らして期間を伸ばしてもらう
- 6ヶ月間は利息のみの支払いで元本の返済を待ってもらう
ただ、35年ローンの場合は「今より期間を伸ばせない」と、返済条件の変更を断られるケースもあります。
返済ができず延滞が続くと、最悪の場合はマイホームが競売にかけられて強制的に売却…という恐ろしい事態になります。
35年ローンの6つのメリット
35年ローンは恐ろしいだけでなく、メリットもあります。
それぞれを順番に解説します。
毎月の返済金額を抑えられる
35年ローンのメリットは、毎月の返済金額が抑えられることです。
返済期間が長くなる分、毎月の負担は減るため、家計がカツカツの状態から解放されます。
具体的に、以下のケースで35年ローンが選ばれています。
- 今後、昇給や昇進が見込める
- 妻が数年後に仕事復帰を視野に入れている
- 車のローンなど他の返済と重なっている
- 手元にお金を残しておきたい
「もう少しで家計は楽になるけれど、家は今すぐに欲しい」と考える人にとって、毎月の返済金額が少ない35年ローンは魅力的です。
また、万が一に備えて手元にお金を残しておきたい人も、返済年数を長くしています。
借入可能額が大きくなる
35年ローンを選択すると、短い返済期間よりも借入可能額を大きくできるケースがあります。
金融機関ではローンの審査の際に、毎月の収入と返済のバランスが1つの基準です。
「返済比率」と呼ばれ、35年ローンでは毎月の返済額が小さくなるため、審査に通りやすくなります。
希望する物件が25年ローンでは通らない場合、35年ローンを選択するのも1つの方法です。
住宅ローン控除の額が増える
住宅ローン控除とは、毎年のローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除する制度です。(参考:国土交通省「住宅ローン減税」)
金額の上限はあるものの、残高が大きいほど税金面で得をする可能性があるため、ひとまず35年ローンを組む方法があります。
住宅ローン控除が受けられなくなったタイミングで、一気に繰り上げ返済をすると利息の負担も抑えられます。
2024年以降の住宅ローン控除には「省エネ住宅」などの要件があるため、これを満たす場合は減税額も確認の上で返済年数を決めましょう。
教育ローンや車のローンより低金利で借り入れができる
一般的に、住宅ローンの金利は車のローンやカードローンよりも低いです。
金融機関やローンの種類にもよりますが、2025年の銀行ローン(変動金利)の金利の目安は以下のとおりです。
ローンの種類 | 金利の目安 |
---|---|
住宅ローン | 1% |
自動車ローン | 3% |
教育ローン | 3% |
カードローン | 5~10% |
住宅ローンは他のローンと比べて低金利なので、カードローンなどと併用するよりも住宅ローンだけを借りた方が支払利息は小さくなります。
「35年ローンは恐ろしい」と考えて返済期間を短くし、家計や返済の不足分をカードローンで補うなら、初めから無理のない返済金額を選んだ方が安全です。
また、数年後に車を買う予定がある場合も、35年ローンを選んで返済額を抑えておき、余裕資金を車用に積み立てをしておくのもおすすめです。
団体信用生命保険による安心感がある
住宅ローンを借りる場合、基本的に団体信用生命保険(通称:団信)に加入します。
団信とは、ローンを借りている人に万が一のこと(死亡や高度障害など)が起きた場合に、生命保険会社が代わりにローンの残高を支払ってくれる仕組みです。
団信はローンを借りている間は有効ですが、完済すると保障も終了します。
35年ローンの場合は完済するまでの最長35年間、団信が付いているため、万が一のときも残された家族を守れます。
繰り上げ返済によって返済期間や返済額を減らせる
35年ローンを組んだ場合、ほとんどの銀行では繰り上げ返済ができます。
住宅ローンの返済方法は、大きく以下の2種類です。
- 返済期間短縮型:返済期間が短くなる
- 返済額軽減型:返済金額が小さくなる
返済期間短縮型を選ぶと、その名のとおりローンの返済期間が短くなります。
35年ローンを組んでも、ボーナスや余裕資金で繰り上げ返済をすると、実質25年や30年に返済期間を縮めることが可能です。
35年間ローンを背負い続ける必要はなく、支払利息も小さくなります。
35年ローンで「頭がおかしい」と言われないためには返済計画が大切
35年ローンで「頭がおかしい」と言われるのは、ずばり無計画な人です。
どのように返済するかをしっかりイメージできていれば、35年ローンは恐ろしいものではありません。
それぞれのパターンを紹介します。
「頭がおかしい」と言われる35年ローンの返済プラン
- 退職金をあてにしすぎている
- ローンを借りられれば退職や転職ができると思っている
- そもそも何も考えていない
35年ローンで一番恐ろしいのは、老後破綻です。
「退職金で完済しよう」とぼんやり考えていても、思ったより支給額が少なかったり、他にも使い道があったりと、計画通りにいかないケースがあります。
退職時には、子どもの大学進学・子どもの結婚・マイホームの修繕・他のローンの精算などの出費が重なりやすいです。
住宅ローンを返すことだけでなく、ライフプランを踏まえた上での返済計画が大切です。
また、「住宅ローンを借りてしまえば勝ち」と考えている人は、マイホームを手に入れた後で仕事を辞めたり、給与が下がるケースがあります。
ローンを借りてすぐの無計画な退職は「頭がおかしい」と思われがちです。
金融機関や不動産会社に言われるがままに、35年ローンを組むのも後悔する可能性があるので、事前に返済プランを考えておきましょう。
計画的な35年ローンの返済プラン
- 年齢が30歳以下で定年退職までに完済できる
- ボーナスが支給されれば、繰り上げ返済すると決めている
- 手元に教育資金や自動車の購入資金を残しておきたく、他にローンを組む予定はない
マイホーム取得時の年齢が30歳以下であれば、定年退職までに35年ローンをほぼ完済できます
20代の場合は、これから収入が上がっていく可能性もあるため、35年ローンを無理なく返しやすいです。
また、ボーナスの支給額が一定でない場合は、ひとまず35年返済を選んで、ボーナスが出れば繰り上げ返済をするのもおすすめです。
ボーナス併用を選ぶと支給額が少ない時の返済に困るため、毎月返済方式を選択して、ボーナス支給時の繰り上げ返済で早期完済を目指しましょう。
中長期的な資金計画ができる人は、35年ローンで毎月の返済額を抑えて、自身で教育資金や自動車の購入費用を貯めておくのもよいです。
ローンが複数になると管理がしづらいため、住宅ローンのみを「家賃」と考えて返済し続け、他のローンはできる限り利用しないのも計画的です。
35年ローンを検討するならまずは「住宅ローン診断」を
35年ローンの利用を検討する場合、まずは「住宅ローン診断」の利用をおすすめします。
住宅ローン診断はモゲチェックのサービスで、以下のメリットがあります。
- 金利の低いおすすめの銀行が見つかる
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金利が0.1%低い銀行を見つけられると、総返済金額が200~300万円下がることも珍しくありません。
35年ローンが自分に向いているのか不安な方は、無料でプロに相談もできます。
モゲチェック限定の優遇金利*もあるので、お得に住宅ローンを借りたい人は「住宅ローン診断」を受けてみましょう。
*提案結果内容に優遇金利が利用できる銀行が含まれていた場合のみのご案内となります。各銀行の審査の結果、優遇金利を利用できない場合もあります。優遇金利の適用金利は事前審査承認後に銀行からご案内します。
35年ローンの恐ろしさについてまとめ
35年ローンは、返済年数の長さや支払利息が大きくなるデメリットがあります。
特に、退職時のローン残高をどのように返済するかを計画しておかないと、老後破綻の恐ろしさに直面します。
一方で、35年ローンは毎月の返済額を抑えて借入金額を増やせるだけでなく、住宅ローンの低金利のメリットが受けられます。
大切なのは「どのように返済するか」をしっかり考えておくことで、繰り上げ返済を前提とした35年ローンは賢い選択と言えます。
ローンの金利が0.1%下がると返済金額も大きく違ってくるので、まずは自分に合った銀行を選んでシミュレーションを確認しましょう。