離婚後、空き家とローンが残ったら。ペアローン・共有名義の売却前チェック
- 更新日:2026.10.06
離婚をきっかけに夫婦とも家を出ても、住宅ローンの返済や固定資産税の負担はそのまま続きます。「家は売りたいけれど、ペアローンが残っていて何から手を付ければよいのか分からない」と、なかなか動き出せずにいる方もいるのではないでしょうか。
離婚後に空き家になった家も、名義人の意思をそろえ、住宅ローンの完済条件を確認できれば、売却を進められる場合があります。ただし、離婚しただけで不動産の名義やローンの契約者が自動的に変わるわけではありません。まずは「誰が家を所有しているか」と「誰がローンを返す契約になっているか」を分けて見ていきましょう。
この記事では、ペアローンの仕組み全般ではなく、離婚後に夫婦とも住まなくなった家や、近く空き家になる予定の家を売却するケースに絞って解説します。共有名義・ペアローン・残債を一つずつ整理し、査定から売却までどのような順番で進めればよいのかを分かりやすく紹介します。
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離婚後に空き家になった家は売却できる?
名義人とローンの契約者を別々に確認する
まず確認したいのは、家の名義と住宅ローンの契約です。家の所有者は登記事項証明書、ローンの契約者と残高は金銭消費貸借契約書や残高証明書などで確かめられます。夫婦の共有名義でもローンは一方だけというケースもあれば、夫婦それぞれがローンを組んでいるケースもあります。
離婚時に「今後は元夫が返済する」「家は元妻が引き取る」と話し合っていても、それだけで登記や金融機関との契約まで変わったとは限りません。記憶や口約束だけで進めず、登記上の名義、ローンの債務者、抵当権の内容を資料で確認しておきましょう。
共有名義の家全体を売るには、原則として双方の同意が必要
夫婦の共有名義になっている家全体を第三者へ売る場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。双方が売主として手続きに関わるため、持分が多い人やローンを多く返してきた人だけで、家全体の売却を決めることはできません。民法でも、共有物に変更を加えるには、原則としてほかの共有者の同意が必要とされています。
出典:e-Gov法令検索「民法」
共有者の同意や持分の考え方は、共有名義の空き家を売却する際の同意と進め方でも詳しく紹介しています。
双方が売却を検討しているなら、細かな条件をすべて決めてからでなくても、まず査定額とローン残高を確認できます。売却代金で完済できそうか、費用を引いた後にいくら残りそうかが分かると、その後の話し合いも進めやすくなります。
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売却の前に確認したい5つのこと
離婚後の家について話し合うときは、これまでの経緯や気持ちの整理と、お金や手続きの確認が重なりがちです。すべてを一度に決めようとせず、まずは資料で確認できることと、これから決めることを分けてみましょう。
登記事項証明書で名義と抵当権を確認する
登記事項証明書を見ると、土地と建物の所有者や持分のほか、抵当権などの情報も確認できます。住宅ローンをすでに完済していても、抵当権の抹消登記が済んでいないケースがあるため、「返し終わっているはず」と記憶だけで判断しないようにしましょう。
名字や住所が離婚・転居前のままなら、売却にあたって変更登記が必要になるかも確認します。手元にすべての資料がそろっていなくても、分かる範囲で状況を整理しておけば、査定の相談から始めることは可能です。
ペアローンと共有名義は同じ意味ではない
共有名義は「家を誰が所有しているか」、ペアローンは「住宅ローンをどのように借りているか」を示す言葉です。似た場面で使われますが、意味は異なります。夫婦で同じ家を購入していても、名義と借入れの組み合わせは一つではありません。
住宅金融支援機構のフラット35では、ペアローンを、同じ物件について二人がそれぞれ借入れを申し込み、二つの融資を組み合わせて利用する制度として案内しています。ただし、契約の内容は金融機関や商品によって異なります。まずは手元の契約書を見ながら、自分たちがどの借り方に該当するのかを確認しましょう。
出典:住宅金融支援機構「ペアローン」査定額とローン残高を比べて売却方法を考える
売却代金でローンと費用をまかなえる場合
査定額がローン残高と売却費用を上回る見込みであれば、仲介で売る方法と不動産会社に買い取ってもらう方法を比較しやすくなります。ただし、査定額がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料や抵当権抹消登記にかかる費用、税金なども含めて考えましょう。
二人分のローン残高と売却に必要な費用を引いた「手取り見込み」を、同じ条件で比べることが大切です。査定額の高さだけで決めず、いつ売れそうか、どのような状態で引き渡すのかもあわせて確認しましょう。
売却代金だけでは完済できない場合
査定額よりも、ローン残高と売却費用の合計が大きい状態を、一般にオーバーローンといいます。この場合は、足りない分を自己資金で補えるか、金融機関との調整が必要かを確認します。査定を受けたからといって、抵当権を残したまま通常どおり売却できるわけではない点には注意が必要です。
住宅金融支援機構は、返済途中の住宅を他人へ譲渡する場合、原則として融資金の全額返済が必要だと案内しています。離婚などをきっかけに一方が債務を引き継ぎたい場合も、まず金融機関への相談が必要です。契約内容や審査結果によって扱いが変わるため、売却方法を決める前に借入先へ確認しましょう。
返済を続けることが難しく、通常の売却ではローンを完済できない場合には、金融機関の同意を得て任意売却を検討するケースもあります。ただし、任意売却は通常の売却とは進め方が異なります。返済に不安を感じた段階で、早めに借入先や専門家へ相談しておくと安心です。
離婚後に空き家になった家を売却する手順
1.名義・ローン・残債を資料で確認する
まずは、土地・建物の登記事項証明書、住宅ローンの契約書、残高証明書、固定資産税の納税通知書などを確認します。ペアローンで二人分の借入れがある場合は、それぞれの残高と契約内容を分けて整理しておくと、その後の比較がしやすくなります。
2.同じ条件で査定を取り、手取りを試算する
査定を依頼するときは、離婚後に空き家になっていること、共有名義やペアローンの有無、希望する売却時期を分かる範囲で伝えます。仲介と買取の両方を検討するなら、価格だけでなく、売却までの期間や引渡し条件も並べて確認しましょう。
査定の種類や依頼先の選び方をもう少し詳しく知りたい方は、空き家の査定方法と業者選びも参考にしてください。
3.代金と費用の分け方を話し合う
売却後に代金が残る場合も、不動産の持分だけで単純に分けられるとは限りません。ローンの返済状況や頭金、財産分与の取り決め、諸費用の負担なども一緒に整理します。後から認識の違いが生じないよう、合意した内容をどのような書面に残すかも専門家へ確認しておきましょう。
4.金融機関へ完済と抵当権抹消の手続きを確認する
売買契約へ進む前に、完済予定額、繰上返済の手続き、必要書類、抵当権抹消の流れを借入先へ確認します。ペアローンの場合は二つの契約があるため、それぞれについて手続きと日程を確かめておきましょう。
5.売買契約・決済・引渡しを進める
共有名義の場合は、原則として双方が売主となり、契約や登記手続きに関わります。決済時には売却代金からローンを完済し、抵当権抹消と所有権移転の手続きを進めます。家財が残っているなら、誰がいつまでに整理するかも早めに決めておくと、引渡し前に慌てずに済みます。
タウンライフ空き家解決では、離婚後に誰も住まなくなった家についても、売却査定や買取などの解決プランを比較できます。名義やローン残高、双方の売却意向を分かる範囲で伝えることで、物件に応じた提案を確認しやすくなります。
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話し合いがまとまらない場合はどうする?
一方が売却に反対している場合
共有名義の家全体は、一方だけの判断では売却できません。まずは査定額や残債、維持費などの数字をそろえ、売った場合と所有を続けた場合を比べてみましょう。それでも意見がまとまらないときは、不動産会社に交渉まで任せようとせず、弁護士などへ相談することも検討してください。
離婚後も財産分与が決まっていない場合
離婚後も財産分与の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の財産分与請求調停を利用できることがあります。裁判所の案内によると、調停では双方の事情を確認し、不動産登記事項証明書や固定資産評価証明書などの資料も見ながら、合意を目指して話し合いを進めます。
出典:裁判所「財産分与請求調停」財産分与を家庭裁判所へ請求できる期間にも注意が必要です。2026年4月1日以後に離婚した場合は原則として離婚後5年、2026年3月31日以前に離婚した場合は原則2年となります。離婚した時期によって異なるため、早めに確認しておきましょう。
出典:法務省「りこんポータル」一方が家を引き取る場合も、金融機関の確認が必要
売却せずに一方が家を引き取り、もう一方が名義やローンから外れたいと考えることもあるでしょう。ただし、不動産の名義を移しただけで、ローンの返済義務や保証関係まで自動的になくなるわけではありません。債務者の変更や借換えができるかどうかは、金融機関の審査や契約条件によって決まります。
財産分与で家を移す場合は税金にも注意
離婚時に家そのものを財産分与として相手へ渡す場合は、現金を分ける場合とは税務上の扱いが異なります。国税庁は、土地や建物を渡した側に、分与時の時価を基に譲渡所得の課税が行われると案内しています。
出典:国税庁「離婚して土地建物などを渡したとき」「離婚に伴う名義変更だから税金はかからない」と決めつけず、売却・財産分与・持分移転のどの方法を選ぶか決める前に、税理士へ確認しておくと安心です。売却代金をどのように分けるかも、財産分与の取り決めとあわせて整理しましょう。
離婚後の空き家は誰に相談する?
離婚後の家については、売却、ローン、登記、財産分与、税金など、確認したい内容がいくつもあります。一つの窓口ですべてを解決しようとせず、相談したい内容に合わせて専門家を選びましょう。
タウンライフ空き家解決は、当事者間の交渉や財産分与の判断、住宅ローン契約の変更を代行するサービスではありません。双方の方向性や金融機関の条件が見えてきた段階で、売却査定や空き家の解決プランを比べるためにご活用ください。
離婚後に空き家になった家の売却でよくある質問
Q. ペアローンが残っていても査定を依頼できますか?
A. はい、ローンが残っている段階でも査定は依頼できます。まず二人分のローン残高を確認し、査定額から売却費用を差し引いた金額で完済できそうかを比べてみましょう。実際に売却する際は、借入先への確認と抵当権抹消の手続きが必要です。
Q. 元配偶者の同意がなくても、共有名義の家を売れますか?
A. 原則として、共有名義の家全体を売るには共有者全員の同意が必要です。ただし、査定を受けて価格の目安を知ることと、実際に売買契約を結ぶことは分けて考えられます。話し合いが難しい場合は、弁護士などへの相談も検討してください。
Q. 自分だけがローンを払っている場合、売却代金もすべて受け取れますか?
A. ローンを誰が返しているかだけで、売却代金の分け方が自動的に決まるとは限りません。不動産の持分や頭金、これまでの返済状況、財産分与の取り決め、費用負担を整理し、判断に迷うときは弁護士や税理士へ確認しましょう。
Q. 売却価格がローン残高より低い場合も売却できますか?
A. 差額を自己資金で補うなど、ローンを完済できる条件を整えられれば売却できることがあります。完済が難しい場合は通常の売却と同じようには進められないため、返済が滞る前に借入先へ相談することが大切です。
Q. 離婚後にどちらも住んでいない家は、住宅ローンのままで問題ありませんか?
A. 住宅ローンは、契約者本人や家族が住むことを前提としている場合があります。誰も住まなくなったときに届出が必要か、そのまま返済を続けられるかは金融機関や商品によって異なります。契約書を確認し、借入先へ現在の状況を伝えましょう。
Q. 離婚前でも売却査定を取れますか?
A. 離婚前でも、売却価格の目安を知るために査定を相談できます。ただし、共有名義の家を実際に売却するには、名義人全員の意思確認が必要です。「売却を決めるために価格を確認したい」と目的を共有し、財産分与やローンについて話し合うための数字をそろえましょう。
まとめ|名義・残債・双方の意向を整理してから売却条件を比べよう
離婚後に空き家になった家を売るときは、最初に登記上の名義とローン契約を分けて確認します。共有名義なら双方の売却意思をそろえ、ペアローンなら二人分の残高と完済条件を確かめましょう。査定額から残債と費用を差し引いた手取りを比べ、売却代金の分け方や財産分与が決まっていない場合は、弁護士や税理士などへ相談しながら整理します。
タウンライフ空き家解決なら、離婚後に誰も住まなくなった家についても、現在の名義や残債を伝えたうえで、売却査定や買取などの提案を比較できます。まずは現在の価格を知り、完済条件や手取りについて話し合うための材料をそろえるところから始めてみてはいかがでしょうか。
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