土地と建物の名義が違う空き家の売却方法。所有者が別でもまとめて売れる?
- 更新日:2026.10.05
親名義の土地に子どもが家を建て、その後、誰も住まなくなった。あるいは、相続の際に土地と建物を別々の人が引き継いだ。こうした空き家では、「誰が売主になるのか」「土地と建物をまとめて売れるのか」と戸惑う方もいるでしょう。
土地と建物の名義が違っていても、それぞれの所有者が売却に同意し、権利関係や契約条件を整理できれば、まとめて売却できる場合があります。ただし、一人の判断で、ほかの人が所有する土地や建物まで一緒に売ることはできません。まずは、土地と建物の登記をそれぞれ確認するところから始めましょう。
この記事では、土地と建物の所有者が異なる空き家について、売却前に確認したいことと、現在の名義のまま売る・名義を整理する・解体して土地を売るといった選択肢の比べ方を紹介します。難しい手続きを先に考えるのではなく、分かる範囲で名義と物件の状態を整理していきましょう。
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土地と建物の名義が違っても、空き家は売却できる?
土地と建物を一緒に売るなら、それぞれの所有者が手続きに関わる
土地と建物は、登記上は別々の不動産です。たとえば、土地が親名義、建物が子ども名義なら、土地は親、建物は子どもが所有しています。同じ買主へまとめて売るときも、それぞれの所有者が自分の不動産の売主として、契約や登記の手続きに関わります。
所有者本人が窓口へ出向けないなどの事情があり、別の人へ手続きを任せる場合は、委任する内容と範囲をはっきりさせておきます。家族であっても、ほかの人が所有する土地や建物を当然に代わって売却できるわけではありません。民法では、代理人が与えられた権限の範囲内で本人のために行った意思表示は、本人に直接効力が生じると定められています。
共有名義とは別の状態として考える
土地と建物の所有者が違う状態は、一つの不動産を複数人で所有する「共有名義」とは別のものです。たとえば、土地は父、建物は子というケースでは、父と子が同じ不動産を共有しているのではなく、それぞれが別の不動産を所有しています。
一方で、土地は兄弟の共有、建物は一人の名義というように、土地または建物そのものが共有になっているケースもあります。この場合は、土地と建物の名義違いに加えて、共有持分や共有者の意向も確認が必要です。土地または建物が複数人の共有になっている場合は、共有名義の空き家を売却する際の同意と進め方もご確認ください。
土地と建物をまとめて売れるか知りたいときは、分かっている範囲で所有者と物件の状況を伝え、査定や売却方法を相談できます。名義変更や解体に費用をかける前に、現在の状態でどのような選択肢があるかを確かめてみましょう。
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土地と建物の名義が違う主なケース
家族の間では「実家は親のもの」「土地も家も同じ人のもの」と思っていても、登記上の所有者が一致しているとは限りません。名義が分かれた経緯によって、確認する相手や必要な資料も変わります。
これまでの経緯を記憶だけで判断せず、土地と建物の登記事項証明書を取得して、現在の所有者を確認しましょう。
売却を相談する前に確認したい5つのこと
相談前に、すべての書類をそろえる必要はありません。「確認できていること」と「まだ分からないこと」を分けておくだけでも、状況を伝えやすくなります。
相続登記が済んでいなくても、査定や売却方法について相談を始められる場合があります。ただし、実際に売却するまでには必要な登記を確認しなければなりません。手続きの基本は、空き家を相続したときの登記手続きと義務化の注意点でも紹介しています。
土地と建物は別々に登記事項証明書を確認する
法務省の案内によると、不動産登記には、土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所や氏名などが記録されています。固定資産税の納税通知書だけで判断せず、土地と建物それぞれの登記事項証明書で、所有者や抵当権を確認しましょう。登記事項証明書は、法務局の窓口や郵送のほか、オンラインでも交付請求できます。
出典:法務省「不動産登記のABC」出典:法務局「登記事項証明書(土地・建物)等を取得したい方」
登記上の住所や氏名が現在と合っているか確認する
所有者が引っ越している場合や、結婚などで氏名が変わっている場合は、登記に以前の情報が残っていることがあります。2026年4月1日から、所有者の住所・氏名等の変更登記が義務化されました。原則として変更日から2年以内に申請し、施行日前の変更が未登記の場合は2028年3月31日までに対応する必要があります。売却の準備とあわせて、必要な変更登記を司法書士などへ確認しておきましょう。
出典:法務省「住所等変更登記の義務化特設ページ」土地を使う権利や家族間の取り決めも整理する
建物の所有者と土地の所有者が違う場合は、建物を建て、土地を使っている根拠も確認します。賃料を払って借りているのか、家族間で無償利用しているのか、書面を交わしているのかによって、売却時に整理する内容が変わるためです。
契約書が見つからない場合も、「家族間の口約束だった」「賃料の支払い記録は見当たらない」など、確認できている事実をそのまま相談先へ伝えましょう。
土地と建物の名義が違う空き家を売る方法
土地と建物を一緒に売る
土地と建物の所有者がどちらも売却に同意しているなら、同じ買主へまとめて売る方法は、まず検討しやすい選択肢です。買主も土地と建物を一緒に取得できるため、建物を使うための土地の権利を別に調整する負担を抑えやすくなります。
査定を依頼するときは、土地と建物の所有者が異なることを最初に伝えましょう。売却代金を土地分と建物分にどう分けるか、仲介手数料や測量・解体費などを誰が負担するかも、契約前に所有者同士で話し合っておくと安心です。
建物だけを売る
建物だけを第三者へ売る方法も考えられます。ただし、買主が購入後もその土地を使える根拠が必要です。土地を使う権利を買主へ引き継げるか、土地所有者の承諾が必要かなどは、現在の契約関係によって変わります。
そのため、買主が限られたり、土地と建物をまとめて売る場合とは査定条件が異なったりする可能性があります。建物だけの売却を決める前に、土地と建物を一緒に売れるかも確認しておくと比べやすいでしょう。
土地だけを売る
土地だけを第三者へ売る場合、買主は、別の人が所有する建物が建っている土地を取得することになります。建物所有者との関係や土地を使う条件がその後も続く可能性があるため、一般的な更地と同じ条件で売れるとは限りません。
土地だけの売却を先に決めるのではなく、建物所有者の意向や現在の土地利用関係を確認し、土地と建物を一緒に売る方法や、建物をどうするかも含めて検討しましょう。
どちらか一方へ名義をまとめてから売る
売却前に、土地または建物をどちらか一方の所有者へ譲り、名義をそろえる方法も考えられます。ただし、売買・贈与など移転の方法によって、登記費用や税金の扱いは変わります。名義を一つにすれば、必ず負担が軽くなるわけではありません。
先に名義変更を決めず、現在の名義のまま売る場合と、名義をまとめてから売る場合の費用・税金・手取りを比べてから判断しましょう。登記については司法書士、税金については税理士へ確認すると安心です。
建物を解体して土地として売る
建物の老朽化が進んでいる場合は、建物所有者が工事内容に同意したうえで解体し、土地として売る方法もあります。ただし、土地所有者であっても、別の人が所有する建物を自分の判断だけで取り壊すことはできません。解体を依頼する前に、建物所有者の意向と費用負担を確認しましょう。
また、解体すれば必ず高く売れるとは限りません。建物を残した状態の査定、解体費用、解体後の土地の売却見込みを並べてから判断しましょう。
どの方法が合うかは、名義だけでなく、建物の状態や土地の需要によっても変わります。タウンライフ空き家解決では、売却査定や解体など、物件に合った解決プランを比較できます。土地と建物の所有者が違うことを相談時に伝えると、各社が対応できる範囲を確かめやすくなります。
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土地と建物の名義が違う空き家を売却する流れ
1.土地と建物の登記を確認する
登記事項証明書を取得し、土地と建物それぞれの所有者、共有持分、抵当権、登記上の住所を確認します。亡くなった方の名義が残っている場合は、土地と建物それぞれについて相続人を整理しましょう。
2.それぞれの所有者の希望を確認する
土地と建物をまとめて売りたいのか、どちらかを残したいのか、希望する時期や価格も含めて話し合います。まだ結論が出ていないなら、「売却を決めるため」ではなく「現在の価値や選択肢を知るため」に査定を取ると共有しておくと、話を進めやすくなります。
3.名義が違うことを伝えて査定を依頼する
査定や売却方法を相談するときは、土地と建物の名義が異なること、所有者同士の関係、売却への同意状況を伝えます。土地と建物を一緒に売る場合、建物を残して土地だけ売る場合、解体して土地を売る場合など、比べたい選択肢も共有しましょう。
4.売却条件と手取りを所有者ごとに確認する
査定額だけでなく、売却代金を土地分と建物分にどう分けるのか、仲介手数料・測量費・解体費などを誰が負担するのかを確認します。一括で売る場合も、価格の区分は時価や固定資産税評価額など、合理的な根拠をもとに考える必要があります。土地と建物では取得時期や取得費が異なることもあるため、税引き後の手取りは所有者ごとに確認しましょう。
出典:国税庁「No.6301 課税標準」5.必要な登記と契約手続きを進める
住所・氏名の変更、相続、抵当権抹消など、売却までに必要な登記を確認します。土地と建物を一緒に売る場合も、誰がどの不動産の売主になるのかを、契約書と登記書類で確かめながら進めましょう。
ケース別に確認したいポイント
土地は親名義、建物は子ども名義
親子の双方が売却に同意している場合は、土地と建物を一緒に査定し、売却条件を比べます。親が手続きを子どもへ任せる場合も、親本人の売却意思と委任する範囲を確認しましょう。親が売却について判断する能力に不安があるときは、委任状だけで進められるとは限らないため、司法書士や弁護士へ早めに相談してください。
土地は兄弟共有、建物は一人の名義
建物所有者が売却に賛成していても、共有されている土地全体を一緒に売るには、土地の共有者全員の同意が必要です。共有者が多いときは、希望価格や費用負担を同じ資料で確認し、連絡を取りまとめる人も決めておくと進めやすくなります。
土地または建物が亡くなった家族の名義
所有者が亡くなった後も名義がそのままの場合は、相続人を確認し、原則として必要な相続登記を済ませてから売却します。土地と建物で名義人が違えば、それぞれの相続人が異なることもあります。片方だけを確認して進めないようにしましょう。
土地と建物の名義が違う空き家は誰に相談する?
最初から、すべての専門家へ相談する必要はありません。まずは登記と物件情報を整理し、現在の名義のまま売れる可能性や査定条件を確認します。そのうえで、登記や税金、所有者間の調整が必要だと分かった段階で、内容に合う専門家へ相談すると進めやすいでしょう。
土地と建物の名義が違う空き家についてよくある質問
Q. 土地と建物の所有者が違っても、一括査定を依頼できますか?
A. はい、売却を検討するための査定や相談は可能です。土地と建物の所有者、双方の売却意向、共有者の有無を分かる範囲で伝えましょう。実際に売買契約を結ぶ際は、それぞれの所有者が手続きに関わります。
Q. 親名義の土地を、子どもが委任状だけで売れますか?
A. 委任状があれば、必ず売れるわけではありません。親本人が売却について判断でき、本人の意思に基づいて子どもへ代理権を与えていることが前提です。必要な書類や本人確認の方法は、売却を担当する会社や司法書士へ事前に確認しましょう。
Q. 建物だけを売却できますか?
A. 売却できる場合はありますが、買主がその土地を使える権利をどう確保するかが重要です。土地所有者との契約内容や承諾の要否を確認し、土地と建物を一緒に売る場合の条件とも比べましょう。
Q. 土地の所有者なら、別名義の建物を解体できますか?
A. 原則として、土地所有者の判断だけで、ほかの人が所有する建物を取り壊すことはできません。建物所有者の意向と費用負担を確認し、合意してから進めましょう。話し合いが難しいときは、自分たちだけで工事を始めず、弁護士などへ相談してください。
Q. 売却前に土地と建物の名義を一人へまとめたほうがよいですか?
A. 必ずしも、売却前に名義を一人へまとめる必要はありません。それぞれの所有者が売主となり、土地と建物を同じ買主へ売却できる場合もあります。名義変更には登記費用や税金が関わるため、現在の名義のまま売る場合と比べてから判断しましょう。
まとめ 土地と建物の名義を分けて確認し、費用をかける前に売却条件を比べよう
土地と建物の名義が違っていても、それぞれの所有者が売却に同意し、必要な権利関係を整理できれば、まとめて売却できる場合があります。まずは土地と建物の登記事項証明書を取り、所有者、共有持分、抵当権、登記上の住所を確認しましょう。
確認できた内容をもとに、土地と建物を一緒に売る、名義を整理してから売る、建物を解体して土地を売るといった選択肢を比べます。名義変更や解体を先に決めず、現在の状態での査定と、各方法にかかる費用を並べることが大切です。
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